コンバンワ、経塚丸雄です。
実は、昨日5月23日は経塚の誕生日でした。
いい齢ですから、特別なことは何もしません。
勿論、ワインは飲みますけどね、ウヒヒ。
小学1年の誕生日に、両親から「金庫風の貯金箱」を貰いました。
ブリキ製で、3つの数字を合わせると開きます。ま、オモチャですね。
俺は、貯金に燃えました。
金庫の天板には貨幣の投入口があり、小銭を入れては富豪を夢見ておりました。
七歳年長の兄が「途中で開けると(少なくて)がっかりするから、次の誕生日まで明けない方がいいぞ」と助言してくれたので、一度も開けずに、コツコツと貯めました。
金庫は徐々に重たくなっていきました。
一年後、誕生日に扉を開けると……忘れもしない。
入っていたのは、わずかに592円だったのです。
お年玉、小遣い、お駄賃諸々、一年の集大成が592円……何度数えても592円。
自然に泣けてきました。
もう貯金なんて無駄なことは二度としない、そう心に誓いました。
ここで母が登場します。
「さすがに、592円のはずはない」と母は疑い、挙動不審の夫を問い詰めました。
「ああ、そうだよ。ちょっと借りてただけだ!」
と、盗人は開き直りました。
そう、父がちょいちょい摘まんでいたんですね。
おそらくは煙草銭でしょう。百円、二百円と小銭を抜いていたらしいです。
3つの数字を合わせるだけで扉は開きますから、大人には楽勝です。
さすがに「これは酷い」と家族の中で大問題になりました。
兄や祖母も俺の味方になってくれ、父は返済と罰金で1万円を出したのです。
母が盗人から巻き上げてくれた1万円札が、俺の「最初の1ドル」になりました。
たた、釈然としないのは、金庫の中身が幾らだったのか?
金庫の中身が1万円より高額だったら、俺は損をしたことになる。
逆に、少なかったのなら、儲けたことになります。
俺には分かりませんでした。
記録をつけていなかったからです。
父にも分かりません。
記録をつける盗人なんていませんからね。
「記録って、大事だな」
これは身に沁みました。
俺は現在、男にしては珍しく家計の収支を厳密に記録しています。
せこくて笑っちゃいますが、小2の頃の記憶が、原点であることは確かです。
そのお陰かどうかわかりませんが――
作家になって20年、売れないなりに借金もなく、バイトもしたことがありません。
贅沢はできないけれど、そこそこにはやれております。
人間万事塞翁が馬……ですかね。
それではまた、明晩19時に!
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